クロスフィットの疲労対策 神経疲労について

今回は私がクロスフィットで意識している神経疲労対策について紹介します。

クロスフィットは毎回ワークアウトでタイムや回数を競うため、全部全力で行うと神経疲労よりトレーニングの質が落ちる感覚があります。私がクロスフィットで実践している方法としては、自分が挑戦したい、伸ばしたいと思う種目を明確にして、それ以外の種目はあえて負荷をあげずにフォーム改善などに焦点を当てる方法をとっています。

クロスフィットのような多種多様な運動を組み合わせた高強度トレーニングでは、全力で取り組む種目と、フォームや技術に焦点を当てる種目を分ける戦略は、神経疲労を軽減し、長期的なトレーニング効果を高めるために効果的です。

以下に、神経疲労を管理しつつ質の高いトレーニングを維持するための考え方や具体的なポイントを詳しく説明します。

なぜ全力を出し続けるのは危険か?

クロスフィットのような「全力を求められる競技的トレーニング」は、以下の理由で神経疲労を引き起こしやすくなります。

  1. CNS(中枢神経系)の過負荷
    毎回タイムや回数を競うことで、特に高強度のメトコン(METCON:Metabolic Conditioning)が続く場合、CNSが十分に回復する前に次の負荷を受けます。これにより、神経伝達物質や神経インパルスの回復が追いつかなくなり、パフォーマンスの低下や倦怠感が発生します。
  2. フォームの乱れとケガのリスク
    疲労が溜まると神経系の指令が不十分になり、運動パターンが崩れやすくなります。特にクロスフィットの複雑な動作では、ケガのリスクが増加します。
  3. 長期的な回復力の低下
    全力を出し続けることは、筋肉だけでなく、関節や腱、そして精神面にも影響を与えます。休養不足やモチベーションの低下につながる可能性があります。

全力で取り組む種目と、フォームや技術に焦点を当てる種目を分けるメリット

  1. トレーニング効果の分配
    • 重要な種目にエネルギーを集中できるため、伸ばしたい分野でのパフォーマンス向上が期待できます。
    • それ以外の種目をフォーム改善に焦点を当てることで、基礎技術の精度が向上し、長期的な成長が見込めます。
  2. 神経系の負荷管理
    • あえて負荷を抑えることで、CNSがリカバリーする時間を確保できます。
    • フォーム改善は神経系への刺激が少ないため、神経疲労の蓄積を防ぎやすくなります。
  3. フォーム改善のメリット
    • 高い負荷ではなく、動作の質に集中することで、効率的な運動パターンを習得。
    • 無駄なエネルギー消費を減らし、結果的にタイムや回数を競う際にも有利になります。

より質を高めるために、クロスフィットの提案

このように、効率的なトレーニングを行うためには意識する点がいくつもあり、自分で1から組み立てるのは大変労力を要します。クロスフィットは多種多様なトレーニングメニューがはじめから組まれており、その意図を汲み取りながら自分で意識する点を変えていくという方法を私は選択しています。ベースのワークアウトがあって、そこから応用していくほうが私にはあっていると感じます。以下はより質を高めるための方法ですが、これらはクロスフィットのプログラミングにあらかじめ組み込まれています。

1. トレーニングの「意図」、ワークアウトの目的

  • 全力を出すセッション(競争的な日)
    • 週に1~2回、記録更新を目指す。
    • 目標を明確にし、戦略的にペース配分。
  • 技術・フォーム改善セッション
    • 負荷を抑え、動作の精度に集中。
    • 例えば、スナッチやクリーンのような複雑なリフティングでは、軽めの重量で繰り返し練習。
  • リカバリーセッション
    • 有酸素運動や軽い動作(ローイング、バイク、ウォーキングなど)で疲労を取り除く。

2. RPE(自覚的運動強度)の活用

セッションごとに「全力を何%で出すべきか」を意識することで、神経系への負荷を適切に調整できます。

  • 全力日:RPE 9~10(記録更新を目指す)
  • フォーム改善日:RPE 6~7(軽めの負荷で正確性を追求)
  • リカバリー日:RPE 3~5(動くことに意味がある)

3. トレーニングの周期化(Periodization)

長期的な視点で強度や負荷を計画します。

  • 1週間のうちの負荷配分を工夫し、高負荷の日と低負荷の日をバランスよく配置。
  • 例えば、「5日間のワークアウトなら、2日は全力、2日は技術改善、1日はリカバリー」のようにスケジュールを組む。

4. アクセサリーエクササイズの活用

フォーム改善の時間に、以下の補助種目を取り入れることで特定の動作を強化できます:

  • 肩甲骨周辺の筋肉強化(フェイスプル、バンドプルアパートなど)。
  • 下半身種目の安定性向上のための股関節のモビリティ。
  • 体幹のコンディショニング(キャットカウ、胸椎回旋のモビリティなど)。
  • バランスのチェック(逆立ちバランス、歩きなど)

5. 神経疲労回復のためのケア

  • 呼吸法瞑想で副交感神経を活性化し、神経系を回復モードに切り替える。
  • 食事管理:ビタミンB群やマグネシウムを積極的に摂取。
  • 睡眠時間の確保:神経疲労回復の最優先事項。

負荷をかけるだけではなく回復も意識することがトレーニングを長く継続するうえでは大切です。少しでも参考になれば幸いです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA