デッドリフトのグリップに関して、今まで私はミックスグリップを左右交代で行っていましたが、最近はお試しでリストストラップを使って握力を補助して行っています。背景としては、デッドリフトのトレーニングのときは体幹下半身に意識を集中させたいからです。リストストラップを使用することで握力を気にせずにリフトできるため体幹下半身に集中できる余裕が生まれると考えました。ワークアウトでこの方法を使うと他の種目に影響してしまうことと、クロスフィットの大会では使えないというデメリットはあります。私の場合は大会のためのトレーニングにはしていないこと、鉄棒で握力のトレーニングができていて、クロスフィットは体幹下半身のパフォーマンス向上のためにやっているので変化を加えて身体感覚を楽しむことを優先しました。グリップ方法の違いについて調べてまとめてみたのでシェアしたいと思います。
デッドリフトにおける4つのグリップ方法
グリップ種類 | 特徴 | 利点 | 注意点 |
---|---|---|---|
ミックスグリップ | バーの回転を抑制し、握力維持に効果的。左右の筋肉の動員パターンが非対称になりやすい。 | 握力維持に効果的。高重量でも安定した挙上が可能。 | 筋肉の不均衡が生じる可能性。左右の手を定期的に入れ替えることが推奨される。 |
ダブルオーバーハンドグリップ | 握力強化に効果的。高重量時に握力が制限要因になることがある。 | 左右均等な筋肉の発達。 | 握力が足りないと高重量の挙上が困難。他グリップと比較して体幹に集中しづらい。 |
リストストラップありダブルオーバーハンドグリップ | 握力の制限を緩和し、安定したリフトが可能。特に高重量で有効。 | フォームの安定性が向上。握力に頼らずに高重量を扱える。 | 競技では使用が禁止される場合がある。握力トレーニングの機会が減少する。 |
フックグリップ | 親指を内側に巻き込む握り方。高いグリップ力を得られるが慣れが必要。 | オーバーハンドでも高重量で握力を維持しやすい。 | 慣れるまでやりづらさや痛みを伴う可能性がある。練習が必要。テーピングも有効 |
デッドリフトでは個人の目的、経験レベル、身体の特性に応じて適切なグリップを選択することが重要です。また、定期的にグリップ方法を変更することで、より総合的な筋力向上が期待できます。
ミックスグリップによる筋肉の不均衡に関する研究
ミックスグリップによる筋肉の不均衡に関する研究を調べてみました。
研究結果
- EMG(筋電図)研究では、ミックスグリップを使用した場合、上腕二頭筋と上腕筋の活性化に左右差が見られました[2]。
- ミックスグリップを使用すると、手首と肘の角度に有意な左右非対称性が観察されました[2]。
- 軽い重量でのデッドリフトの方が、重い重量よりも非対称性が大きくなる傾向が見られました[3]。
- タッチアンドゴー方式のデッドリフトでは、完全に一時停止する方法と比較して、約6倍の非対称性が観察されました[3]。
潜在的な問題点
- 脊柱起立筋と広背筋に不均衡が生じる可能性があります[1]。
- 長期的に同じ手の向きでミックスグリップを使用すると、上半身の筋肉に不均衡が生じる可能性があります[4]。
- 回外側の肩が前方に突き出た姿勢になりやすく、上腕二頭筋に過度のストレスがかかる可能性があります[4]。
推奨事項
- トレーニング中は、セット毎に回内側と回外側の手を交互に変えることが推奨されます[1][2]。
- 可能な限りダブルオーバーハンドグリップ(両手とも順手)を使用し、必要に応じてフックグリップやストラップを活用することが提案されています[4][5]。
- 競技や最大挙上時以外では、ミックスグリップの使用を控えめにすることが推奨されます[5]。
- 筋力バランスを保つために、サブマックスの重量(1RMの80%未満)でのトレーニングではフックグリップやダブルオーバーハンドグリップを優先的に使用することが提案されています[5]。
これらの研究結果は、ミックスグリップが筋肉の不均衡を引き起こす可能性を示唆していますが、適切な使用方法と定期的なグリップの変更により、そのリスクを軽減できることを示しています。
引用記事:
[1] https://www.reddit.com/r/bodybuilding/comments/30ufhw/does_mixed_grip_for_deadlift_cause_muscle/
[2] https://uknowledge.uky.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1085&context=gradschool_theses
[3] https://www.garagegymathlete.com/blog/can-mix-grip-deadlift-lead-to-injury
[4] https://drjohnrusin.com/stop-deadlifting-with-a-mixed-grip/
[5] https://livathletic.com/blog/b/mixed-grip-deadlift-and-muscle-imbalance
※追記:上腕二頭筋と上腕筋の違い
特徴 | 上腕二頭筋 | 上腕筋 |
---|---|---|
構造 | 2つの頭部(長頭と短頭) | 単一の筋肉 |
位置 | 上腕の前面、表層 | 上腕二頭筋の下、深層 |
範囲 | 肩から肘まで | 上腕骨の前面に沿って |
主な機能 | 肘関節の屈曲、前腕の回外 | 肘関節の屈曲 |
補助的機能 | 肩関節の屈曲 | なし |
最大効率の姿勢 | 前腕回外位(手のひらを上) | 前腕回内位(手のひらを下) |
見た目 | 発達すると「力こぶ」として目立つ | 直接的には見えにくい |
上腕の形状に大きく寄与 | 上腕全体の太さに寄与 | |
効果的なトレーニング | バーベルカール、ダンベルカール | ハンマーカール、リバースカール |
デッドリフトでの活性化 | ミックスグリップで活性化が低い | ダブルオーバーハンドグリップで活性化が高い |
まとめ
どのグリップにもメリット・デメリットはあり、調べてみると面白かったです。ワークアウトの目的に応じて柔軟に変えていこうと思いました。参考になれば幸いです。