マッスルアップの習得に向けた私の練習方法とアドバイス

はじめに

マッスルアップは、全身の筋力と技術を総合的に問われるトレーニングです。しかし、マッスルアップは単に筋力だけではなく、身体の使い方や動作の理解が不可欠です。私自身、マッスルアップは苦手とする種目で、現在も練習中です。蹴上がりとマッスルアップを足して2で割ったようなフォームではありますが、このやり方で5回以上安定してできるようになりました。

上はパートナーのマッスルアップ、下は私のマッスルアップ?です。

今回は、私が実際に練習してきたエクササイズやその理論的な背景、そしてマッスルアップを効果的に習得するためのアプローチを紹介します。これからマッスルアップを習得したいと思っている方に、少しでも参考になれば幸いです。


マッスルアップと懸垂の違い

軌道の違い
  1. 懸垂:垂直にバーに向かって上がる。
  2. マッスルアップ:子を描くように身体をバーの前から後ろへ斜めに上る、遠心力を使いながら体幹下半身を連動させてバーの上に乗るイメージ。
必要とされる筋力の違い

1. 瞬発力とスピード

マッスルアップでは、バーを越えるために通常の懸垂よりも速く体を引き上げる必要があります。懸垂からディップスに移行する前で失速すると、体重を持ち上げるのが難しくなるため、スピードと力を同時に発揮する必要があります。

2. 必要とされる筋パワー

マッスルアップは懸垂と比べてバーを越えて高く引き上げる必要があり、大きな筋力を出すことが要求されます。自身の身体を引き上げることができれば懸垂は出来ますが、マッスルアップをする際は自分の体以上のウエイトを引き上げることがあ出来なければ難しいです。

3. 全身の連動、コーディネーション

マッスルアップでは、懸垂で特に必要とされる上腕二頭筋や広背筋でバーを引く筋力だけではなく、ディップス動作で必要となる最後にバーを押す筋力も求められます。遠心力に対して体幹や下半身の力を連動させるための体幹の安定性、瞬発的な筋力も重要です。全身を使って効率的に力を発揮する能力が必要とされます。

この違いを理解した上で、私は以下の練習方法を取り入れてきました。


基本のエクササイズ

マッスルアップの基礎を固めるために、まずは懸垂ディップスなどの基本的な動作を強化することが不可欠です。私が取り組んできた基本エクササイズは以下の通りです。

1.懸垂

・通常の懸垂:バーを顎が超えるまでの通常の懸垂はウォーミングアップ、基礎体力づくりに行っていました。マッスルアップを達成した時点で私は20回くらいは連続でできました。

・爆発的な懸垂:引き上げるときはできるだけ早く、できるだけ高くを意識します。瞬発力を鍛えられるように一気に力を入れる意識で行いました。瞬発力を鍛える懸垂は回数重視ではなく、3回くらいずつでなれたらセット数を増やして行いました。

※ 引き上げで爆発的なパワーを使う分、降りるときに急に力を抜いてしまうと怪我のリスクがあります。バーを掴んでいる間は集中力を切らさないように意識しましょう。足が届く高さのバーで行う、バンドを使うなどの工夫もしました。

・荷重懸垂:ウエイトベストやベルトにウエイトを引っ掛けて行いました。マッスルアップでは自分の体重以上を引き上げる筋力を要するためパワーアップのために荷重懸垂は効果的です。

・L字懸垂:L字の懸垂は足が前にあるため、マッスルアップのようなバーの後ろに斜めに引き上げる軌道の練習もしやすいです。マッスルアップで必要な体幹安定性・体幹筋力を鍛えることも出来ます。

・斜め懸垂(オーストラリアンプルアップ):身体が斜めになることで体幹の安定性を維持しながらバーを引く練習になります。ウエイトベストなどを使って荷重すれば負荷量アップも可能です。限界まで引き切ることで意外と負荷の高いトレーニングになります。

2.ディップス

・ストレートバーディップス:鉄棒で行うディップスです。平行棒で行うよりよりマッスルアップに近い動作となります。慣れたらできるだけ低く、可動域を増やしていきました。

3.体幹トレーニング

・逆上がり(プルオーバー):逆上がりはバーを身体に引き付けた状態を維持しながら身体を回転さます。バーにぶら下がった状態から行うと総合的に全身の筋力を鍛えることが出来ます。

・トーズトゥバーやレッグレイズ:キッピング動作の練習・体幹の瞬発力強化になります。

・ヒップエクステンション(爆発的に)

背部の筋肉を強化することで、マッスルアップで引く動作から押す動作へのトランジションの際は、脊柱起立筋・臀筋のバックチェーンの連動性を使います。マッスルアップに近い体の角度での股関節伸展の瞬発力を鍛えるために行いました。体幹の安定性をキープしながら一気におしりを締め、股関節を伸展させることを意識します。

これらの基礎的なトレーニングは、マッスルアップに必要な筋力を構築するために非常に重要です。しかし、筋力だけではなく、技術的な部分を鍛えることも重要です。


スキル特化の練習

マッスルアップの動作は、単に引き上げるだけではなく、スムーズに体をバーの上に乗せる必要があります。ここで役立ったのが、以下のスキル特化型のトレーニングです。

1. ネガティブマッスルアップ

  • 上から下りる動作をゆっくりコントロールしながら行います。マッスルアップに必要な筋力、体幹の安定性、バランスの感覚をつかむことを目的に行いました。
  • 逆上がりで上に上がる、ネガティブマッスルアップで下に降りるの組み合わせも効果的でした。

2. バンドアシストマッスルアップ

  • バンドを使って、筋力の補助を受けながらマッスルアップの動作を繰り返し練習しました。これにより、フォームの確認や正しい動作軌道を習得する助けとなりました。

伸張性収縮と動作の連動

マッスルアップの動作をスムーズに行うためには、筋肉の伸張性収縮(エキセントリック収縮)を利用することが大切です。私は逆上がりの動作から、斜め下に降りる際にこの収縮を意識し、反動を使って再び引き上げる練習を行いました。

1. 斜め下に降りてからの再引き上げ

  • 逆上がりで鉄棒上に上がってから、斜め下に降り、そこで伸張性収縮の力を使って再び引き上げる練習を繰り返しました。降りる際は地面に輪っかをイメージしてそこに飛び降りるイメージで行いました。これにより、マッスルアップでの力の流れ動作の連動をスムーズに行えるようになりました。

イメージトレーニングの重要性

ここまで紹介したエクササイズに加えて、私は常にマッスルアップの動作をイメージしながら練習を行っていました。具体的には、引き上げる瞬間、体がどのように動くべきか、どの筋肉がどのタイミングで力を発揮するかを頭の中で再現しながらエクササイズを行うことで、実際の動作がよりスムーズに繋がるようになりました。

イメージトレーニングの理論的背景
  • 神経筋連動:動作をイメージしながら練習することで、筋肉と神経の協調が高まり、動作が効率的に行えるようになります。
  • 運動学習:脳が動作のパターンを覚えることで、マッスルアップの動作を体が自動的に習得していきます。
  • 体幹の瞬発力:特にVアップやヒップエクステンションなどで、爆発的な動きに必要な体幹の力を強化しました。

まとめ

マッスルアップは、筋力だけでなく技術や体幹の強さ、そして動作の連動が求められる複雑な動作です。習得までの道のりは人それぞれですが、焦らずに一歩ずつ取り組むことで、必ず成功に近づけると思います。参考にしていただけたら幸いです。一緒に頑張りましょう。

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