リハビリの患者さんを見て、回復のための食事を考える

リハビリテーション病棟として勤務していて、患者さんの食事・回復の状況を見ていて、病院食でもしっかり食べている人は回復が早い印象を受けます。そういった経験から栄養について考えていることをまとめてみました。

リハビリの栄養管理、接種率が高い人の回復が早い理由

栄養バランスの重要性

  1. 回復促進:適切な栄養バランスは、体の修復と回復を促進します。特にタンパク質は組織の修復に不可欠です。
  2. 免疫機能の強化:バランスの取れた栄養摂取は免疫システムを強化し、感染症のリスクを低減します。
  3. エネルギー供給:炭水化物と脂質は、リハビリテーションに必要なエネルギーを提供します。
  4. 筋肉量の維持:適切なタンパク質摂取は、入院中の筋肉量の維持に役立ちます。

食事摂取量と回復の関係

病院食の食事摂取量が多い人の回復が早い理由には、以下のような要因があります:

  1. 栄養状態の改善:十分な栄養摂取は、低栄養状態を改善し、体の機能回復を促進します。
  2. リハビリ効果の向上:適切な栄養摂取は、リハビリテーションの効果を最大化します。栄養不足では、リハビリで消費したエネルギーを補充できず、体を消耗させてしまいます。
  3. 免疫機能の強化:十分な栄養摂取は免疫機能を高め、感染症のリスクを低減します。
  4. 創傷治癒の促進=傷が治りやすい:適切な栄養摂取、特にタンパク質とエネルギーの摂取は、創傷治癒を促進します。
  5. 合併症リスクの低減:栄養状態が良好な患者は、術後合併症のリスクが低くなります。
  6. 全身状態の改善:十分な栄養摂取は、患者の全身状態を改善し、回復を加速させます。
  7. 意欲の向上:適切な栄養状態は、患者の意欲を高め、積極的な治療参加を促します。
リハビリテーション病棟でのPFCバランス(目安)

PFCバランスの目安は以下の通りです:

  • たんぱく質(P):13~20%
  • 脂質(F):20~30%
  • 炭水化物(C):50~65%

ただし、患者の状態や必要栄養量に応じて、このバランスを調整することがあります。

最近では糖質制限やタンパク質中心に食事を考える人、1日1食を選択する人など、様々なスタイルがあります。そのため「主食が多すぎる」、「朝は食べられない」などのコメントもよく聞きます。しかし、印象としてはしっかり完食してくれる患者さんは回復が早い印象があります。その観点でも考えてみました。

  1. 十分なエネルギー摂取:リハビリ中は筋肉の再建、組織の修復、脳や神経系の回復に膨大なエネルギーが必要です。これを支えるのが炭水化物・脂質・タンパク質などのマクロ栄養素です。白米は消化が良く、エネルギー効率が高いのでメリットも大きいです。
  2. 代謝を促すビタミン・ミネラル
    ビタミンB群(特にB1、B6、B12)はエネルギー代謝や神経機能のサポートに必須です。また、亜鉛や鉄などのミネラルも傷の回復や免疫機能に寄与します。ただし、これらは「補助」の役割に過ぎず、エネルギーの基盤がなければその効果を十分に発揮できません。
  3. タンパク質の重要性
    筋肉量を維持・回復するには、十分な量のタンパク質が必要です。鶏肉や魚、大豆製品(例えば納豆)などの消化が良く高品質なタンパク質を取り入れることで、筋肉の再生や免疫の回復が促進されます。
  4. 腸内環境の維持
    腸は「第2の脳」とも言われ、免疫や栄養吸収の要となる器官です。発酵食品(味噌、ヨーグルト、漬物)や食物繊維を適度に摂取することで腸内フローラを整え、栄養吸収効率を高めることが回復に寄与します。消化吸収能力が低い患者さんほど分食(1回の食事量を抑えて頻度を多くする)のほうが効率よくエネルギー摂取ができます。

リアルフード中心の視点が必要な理由

  • 自然な形で栄養を摂取することの利点
    研究では、食品中の栄養素が単一ではなく、他の成分との相互作用で効果を発揮することが示されています(例:果物中のビタミンCとフラボノイドの相乗効果)。リアルフードはこうした複合的な栄養摂取を可能にします。
  • ホリスティックな健康観
    人間の体は、単純な数値では測りきれない複雑なシステムで動いています。リアルフードは自然な形で体に取り入れられます。科学は進歩していますが生命にはだ理論的に解明されていない部分も大きいと思います。
  • 心理的な安定感
    見た目や味、香りの工夫がある食事は、心理的な満足感や幸福感を高めます。これは食欲を刺激し、栄養摂取を促すと同時に回復にも寄与します。

サプリメントや完全栄養食とのバランス

サプリメントや完全栄養食は、現代人の忙しい生活や特定の栄養不足を補う点で非常に便利です。ただし、それに頼りすぎると、リアルフードの持つ利点や体に与える自然な効果を損なう恐れがあります。以下のように使い分けるのが良いでしょう:

  • リアルフードを基本とし、不足しがちな栄養素をサプリメントで補助する。
  • 忙しいときや体調が悪いときに、完全栄養食を一時的に利用する。

まとめ

私もあまり食事の準備に時間をかけたくないのでサプリメントに頼ってしまうことが多いですが、無理のない範囲でリアルフードで栄養バランスを整えることも心がけていきたいと思います。

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