多裂筋の機能、痛みやパフォーマンスとの関連、ピラティス種目例

多裂筋は、インナーマッスルの1つで腰痛やパフォーマンスと密接に関係していることが近年注目されています。 

多裂筋の特徴:筋紡錘が豊富

多裂筋には筋紡錘が存在します。筋紡錘は筋肉の内部にある感覚器官であり、筋肉の長さや張力を感知する役割を果たします。多裂筋の筋紡錘は、背骨の動きや姿勢に関する情報を脳に伝え、体のバランスや協調性を維持するのに役立ちます。

多裂筋を鍛えることのメリット

  • 背骨の安定性向上: 多裂筋が鍛えられると、背骨が安定し、怪我のリスクを減らすことができます。
  • 可動域の拡大: 多裂筋が柔軟になると、背骨の可動域が広がり、パフォーマンス向上につながります。
  • パワー向上: 多裂筋が鍛えられると、体幹の安定性が向上し、より多くのパワーを発揮することができます。
  • 筋持久力の向上: 多裂筋が鍛えられると、体幹の筋持久力が向上し、長時間の運動でもパフォーマンスを維持することができます。

多裂筋筋力低下による問題

  • 背骨が不安定になり、腰痛が出やすくなる
  • 骨盤が前傾し、腰に負担がかかる
  • 体幹の他の筋肉に影響し、バランスが崩れる。

多裂筋にアプローチできるピラティスの種目例

・ロールアップ、スパインストレッチ:脊柱分節の動きを覚える、呼吸との連動

・ヘリコプター:胸椎回旋可動域向上、腹斜筋強化

・ヒップリフト:臀筋との連動、脊柱分節の動きを覚える

・Vバランス:軸の伸長、バランス向上、体幹安定

・バードドッグ:体幹スタビリティ、全身連動性

・2プローン:体幹の静的安定性、バランス

・エルボープローン:体幹の動的安定性、バランスを保ちながら全身の筋力を鍛える

・スイミング:上肢と下肢の連動、体幹伸筋群強化

・スフィンクスリーチ:胸郭可動性、呼吸筋可動性向上

・シザース:脊柱から骨盤のスタビリティ、下半身モビリティ向上

おまけ:ピラティスの腰痛に対する論文紹介

Application of Pilates-based exercises in the treatment of chronic non-specific low back pain: state of the art

慢性非特異性腰痛(CNLBP)に対するピラティスエクササイズの応用:最新の知見

CNLBP の治療には運動療法が推奨されており、ピラティスはその選択肢の一つとして広く用いられています。ピラティスは、体幹の安定性に関わるインナーマッスル、特に腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋などを強化します。これらの筋群は、腰椎の安定性に重要です。ピラティスでは、呼吸、体幹部の引き締め (centering)、正しい姿勢といった基本原則が重視されます。これにより、腰椎への負担を軽減し、痛みの緩和が期待できます。研究により、ピラティスは CNLBP の患者さんに対して、痛み改善、機能回復、日常生活動作能力向上に効果があることが示唆されています。ただし、ピラティスの効果はプログラムの内容、強度、指導者の質などによって左右されます。効果的なプログラムの実施のためには、理学療法士などの専門家による指導が望ましいです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA