クロスフィットの中でも特にシンプルかつ過酷なWOD「Karen(150 Wall Ball for Time)」を行いました。
今回は、私がどのように戦略を立て、どんな意識で取り組んだのか、
そしてそれが身体のしくみや理論についても私の考えをお伝えします。参考程度に。
🧱 WOD “Karen”の基本
150回のWall Ballをひたすらこなすという、見た目以上にキツいWOD。
- しゃがんで(スクワット)
- 爆発的に立ち上がって
- 壁にボールを投げる(RX女子は14lbを9ftターゲットに向かって投げますが、私は少し軽めの10lbでやっています)
**下半身・体幹・上半身を連動させた“全身運動”**で、心拍数も筋出力も高く、
フォームが乱れれば一気に失速します。
✅ 私の実践戦略
▶️ セット構成:20回 → 10回×13セット
- 最初の20回でリズムを掴む
- その後は10回刻みで淡々と
- 毎回「あと10回できる余力」を保ちながら進行
→ 結果:7分43秒,ペースは安定して行えました。
🫁 呼吸と体幹の安定|呼吸調整と腹圧維持の理論
ウォールボールで大事なのは、呼吸を止めないこと。
呼吸を止めると腹圧は上がりますが、心拍数や血圧が上がり、早期に疲労を招きます(Valsalva効果)。
私は今回、次の2点を意識しました:
- 投げる瞬間に息を吐く(exhale on effort)
- 体幹を締めつつも呼吸を続ける(腹圧と呼吸の共存)
💡このアプローチは、「腹横筋を軸とした呼吸補助筋群の協調制御」につながり、体幹の安定+呼吸の維持=持続的出力を可能にします。
🔥 ペースと代謝の管理|無酸素閾値と乳酸制御の視点
Karenのような高反復WODは、乳酸(Lactate)との戦いでもあります。
- 10回ずつ刻んで小休止を入れることで、無酸素域での連続運動を避ける
- 筋内のATP-PC系を再合成する数秒の呼吸コントロールが、結果的に後半の失速を防ぐ
💡これは「無酸素性代謝閾値(AT)を超えないよう自己調整する戦略」で、少し休むことで総合出力を落とさないというメタボリック・パワーマネジメントです。
🧠 精神的なセルフマネジメント|自己効力感と集中の維持
150という数字は、正直「気が遠くなる回数」です。
でも私は「10回刻みで今に集中する」という方法をとりました。
このやり方は「タスク分割による自己効力感の維持」につながり、
- 不安を先送りにできる
- 毎セットで小さな“達成感”を積み重ねられる
- 次の10回に集中することで「いまに集中」できる
💡これは、「ワーキングメモリと情動制御の最適化」により、WOD中の注意力・フォーム・モチベーション維持にも効果的です。
🦵 運動連鎖の意識|キネティックチェーンの最適化
Wall Ball動作は、
ヒップドライブ → 体幹安定 → 腕のリリース
という**キネティックチェーン(運動連鎖)**に支えられています。
疲れてくると「腕投げ」「背中の反り」が目立ちますが、私は以下の工夫でブレを防ぎました:
- 脚で押し、体幹で支え、腕は添えるだけ
- 疲労時には「体幹の角度を調整」して出力ベクトルを逃さない
💡これは、理学療法や動作分析で用いられる「運動単位の選択と出力軌道の安定化」にあたります。
トレーナーとしての経験が、こういう場面でも生きていると感じました。
🎯 パフォーマンス向上のためのワークアウトアイデア
- セット構成を「30→20→10×10」にして、ペース変化耐性を強化
- 動画でフォームの軌道や高さを見直し、パフォーマンスロスの早期発見
- スプリントやバーピーを組み合わせて心拍変動に対応するWODを構築
✍️ まとめ
Karenはただの150回ではなく、体力・技術・戦略・精神力すべてが試されるWODです。
今回は自分の身体の反応やフォームを観察しながら、理論に基づいた戦い方ができたと感じています。
もし「Karenがつらい」「途中で潰れる」という方がいれば、
呼吸・刻み・意識の向け方を少し変えるだけで変わってくるかもしれません。
少しでも参考になれば幸いです。